J-フォン、5年かけて取り戻したドメインが不要になってしまう

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人知の及ばぬ32ビットの空間に、
名前がついたその日から、
見知らぬあなたと、見知らぬあなたに、
ウェブの糸がつながった
ドメインの織りなす運命を解き明かす
あらたな世界の扉が開かれる
それが、あなたの知らないドメインの.世界

 

 

J-フォン(J-PHONE)が5年の歳月をかけて取り戻したドメインが、不要になってしまったことをご存知ですか?

 

1997年8月、食品等の輸出入販売会社である大行通商(東京都港区)が「j-phone.co.jp」を登録
して、アダルトグッズや携帯電話関連用品を販売するサイトをオープンしました。
1997年2月にスタートした携帯電話のサービスブランドの1つだったJ-フォンは2000年2月、
「j-phone.co.jp」の使用差し止めを請求。2001年4月、J-フォンは東京地裁で勝訴を勝ち取ります。
被告の大行通商は控訴しましたが、同年10月、東京高裁は1審を支持する判決を下しました。
この判決を不服として上告したものの棄却され、同年12月に判決が確定しました。さらに、
J-フォン社のサイトと混同させる目的でドメインを不正利用し、同社の信用を損なわさせたなど
として、裁判所は被告に対して300万円をJ-フォンに支払うように命じました。

 

しかし、不正競争防止法に違反しているか否かを争点とする法廷でのドメイン紛争で請求できる
のは、「ドメイン名の使用差し止め」のみ。「ドメイン名の移転」を求めることはできません。
J-フォンは2002年4月、日本知的財産仲裁センターに対して移転を請求する申し立てを提出、6月
11日に同センターはドメイン名の移転命令を下し、7月2日に「j-phone.co.jp」と「j-phone.jp」の
移転手続が完了しました。このドメイン紛争は、ドメイン名の使用差し止め判決が裁判で確定後、
紛争処理機関がドメイン名の移転命令を下した初めてのケースとなったのです。

 

裁判期間中、J-フォンは2000年11月開始のカメラ付き端末「写メール」が大ヒットしたり、2002
年3月には契約者数が事業開始後初めてauを上回ったり、とても好調でしたが、ドメイン移転
手続が完了する9ヶ月前の2001年10月、筆頭株主である日本テレコムが英ボーダフォングループ
の傘下となった事に伴い、J-フォンもボーダフォングループのブランドイメージを打ち出している
最中だったため、取り戻した「j-phone.co.jp」と「j-phone.jp」を活用することはありませんでした。

 

参考
日本知的財産仲裁センター紛争処理パネルの裁定
不正競争防止法の一部改正に伴う事例集の紹介について
wikipedia – SoftBank

 

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